深夜10時半に記者会見を開くなんて、天藤会社が初めての例で、とても珍しいことだ。
私が現場に着いた時には、記者たちはすでに会議室に席についていた。
秘書は私を最前列に案内した。
そして偶然にも、あの葉山凡が私の隣に座っていた。
彼は時々頭を下げてメッセージを送っていた。
おそらく田中遠三と連絡を取っているのだろう。
田中遠三もこの件に関心を持っているようだ。
スーツ姿の伊藤諾が壇上に立っていた。彼の着ているスーツは私が選んだものだ。
彼はもともと知的で端正な顔立ちで、いつも淡い色の服を好んで着ていた。スーツでさえ、空色や薄い青色のものだった。
確かに見栄えはよく、清楚で俗世を超えた感じだったが、ビジネスマンとしての威厳が少し欠けていた。
今日、私が彼のために選んだのは純黒の高級スーツで、中に白いシャツ、濃い青のネクタイを合わせていた。