私の心は今、感動でいっぱいになっていた。
実際、私は河野恵美と何も変わらない。私の心も同じように、クズ男に千々に乱れるほど傷つけられ、私も同じように癒しを必要としている。
彼女には子供がいる。
でも私には何もない。
だから、伊藤諾が私を癒せると言った時、感動と感謝の気持ちでいっぱいになった。
しかし、私は顔では平然としているふりをした。
手を伸ばして彼のハンサムな顔をつまんだ。
「薬の媒体ね!普通、薬の媒体は効果が絞り取られた後、ゴミ箱に捨てられるわよ。怖くない?」
伊藤諾は口元を上げ、瞳には笑みが満ちていた。
「使う勇気があるかい?」
「諾、私はあなたが想像しているほど弱くないわ。自分で自分を癒せるわ。そうそう、義姉さんのことは片付いたわ」
伊藤諾は私に親指を立てた。