第225章 彼を言い返す

私はまだ当時の状況をはっきりと覚えている。及川雨子と葉山夢愛の二人の写真と資料が私の目の前に置かれていた。

実は二人の背景はとても似ていた。

家が貧しく、家庭環境が非常に悪い。上の備考には成績優秀だが貧困とあった。

私はとても悩んでいた、誰を選べばいいのかわからなかった!

一人にチャンスを与えるということは、もう一人がチャンスを失うことを意味する。

当時私は迷っていたので、選択権を一緒にいた田中遠三に委ねた。

田中遠三は一目見て、葉山夢愛を指さした。私は今でも彼が言った言葉を覚えている。

「この女の子はね、痩せていて小さくて、とても可哀想に見える!」

確かに、当時の葉山夢愛は写真で見ると、あのか弱くて可哀想な小さな姿だった。

あるいは、まさにこの見るに忍びない小さな姿が、田中遠三の保護欲を刺激したのかもしれない。