燃え上がる炎の中で、私は田中遠三の姿を見た。
私が寝室から出てきた時、彼は背を向けて洗面所に立ち、電話をしていた。
「夢愛?わかった、すぐに行くよ!」
私は田中遠三が去っていくのを見て、彼を追いかけようと立ち上がった。
次の瞬間、猛烈な炎が私の体を焼き、耐えられないほどの痛みを感じた。
「祐仁、祐仁!」
ぼんやりとした意識の中で、誰かが私を揺さぶっていた。
目を開けると、火の海は消えていた…
あの全身を焼く炎の感覚も消えていた。
私は寝室のベッドに横たわっていた。
すでに明るい朝になっており、朝の光が窓から差し込み、目の前の端正な顔を照らしていた。
その澄んだ瞳には、心配の色が満ちていた。
伊藤諾は片足をベッドにつき、もう一方の手で私の額に触れていた。彼はまだ昨晩の寝間着を着ていた。