彼が緊張すればするほど、私の心の中ではますます明確になった。自分は正しい場所を見つけたのだと。
「田中遠三、あなたは世の中で私だけが黒い過去を持っていて、あなたには何もないと思っているの?」
田中遠三はそれを聞くとすぐに問い詰めた。その言葉には明らかに緊張が滲んでいた。
「この秘密を知っているのは、私の妻だけだ!お前はいつまで隠し通せると思っている?」
「でたらめだ!このことを知っている人はたくさんいるわ!松岡家の人間で、あなたの秘密を知らない人がいるの?」
「松岡雄介が教えたのか?」
「もう無駄話はしたくないわ!あの日記の発表は取り消した方がいいわよ。そうしないと皆が苦しむことになる!『追い詰められた兎も噛みつく』っていう言葉があるでしょう。私を追い詰めないで!」