第228章 宝物の男

私は温井雅子が少し臆病そうな様子を見て、思わず笑ってしまった。

「雅子、あなた以前はこんなじゃなかったわよ！いつも天も地も恐れないような態度だったのに、今はどうしてこんなに小心者になったの？」

温井雅子はにやりと笑った。

「確かに以前は天も地も恐れなかったわ。でも今考えると、私がちゃんと結婚して人生を楽しむ前にこうして死んでしまったら、それはあまりにも残念すぎるわ。だから愛のために、私はちゃんと生きなきゃいけない。以前のような無謀なことはできないわ」

「そう考えるべきだったのよ。でも大丈夫、怖がらないで、私がいるから！」

私は立ち上がってドアを開けに行った。

温井雅子はまだとても緊張して、ドアの後ろにあったバドミントンのラケットを手に取り、攻撃の姿勢をとった。

私は頭を振った。ドアを開けると、そこに立っていたのは紛れもなく伊藤諾だった。