最初は田中遠三からの電話だと思っていたが、よく見ると五十嵐麗子からだった。
埠頭の遠くを見渡したが、車のライトは見えなかった。
田中遠三はまだ到着していないと思われ、今なら電話に出る時間がある。
そこで電話に出た。
「おばさん、何かご用でしょうか?」
「大したことではないの、ただ一言伝えたくて。私の次男が帰国したわ!松岡晴彦...この子ったら、実は午前中に出発していたのに、今になって私に知らせてきたの。」
「彼は青木県に着いたんですか?」
「もう着いているけど、まだ家には帰っていないわ。先に三橋に行って何か処理することがあるって言ってたわ。松岡さん、これを伝えたかったのは、物事は少しずつ良くなっていくから、息子が対処するからって言いたかったの。」
五十嵐麗子は興奮した様子で、言葉が乱れていた。