第254章 彼女は捨て駒になった

私はかがみ込んで、葉山夢愛のスマホを拾い上げた。

そして、ロープを取り、葉山夢愛の両手を縛り、彼女を下の船底へと引きずり込んだ。

彼女の指紋でスマホのロックを解除した。

実は、私は元々葉山夢愛を誘拐するつもりはなかった。

彼女は私の計画には全く含まれていなかった。

しかし、彼女が自ら門前に現れたからには、戦略を変えるしかない。

ロック解除後。

私は葉山夢愛のスマホを調べ始めた。

驚いたことに、葉山夢愛は田中遠三とのメッセージのやり取りをたくさん保存していた。

一つ一つ見ていくと。

基本的にはすべて葉山夢愛が送ったもので、田中遠三からの返信はほとんどなかった。

大部分は葉山夢愛が田中遠三を誘い出そうとするもので、田中遠三の返事はほとんどが時間がない、というものだった…