「あなたは葉山夢愛が嫌いだと言ったから、私は彼女を追い出したわ」
「葉山夢愛はあなたの問題であって、私には関係ない!」
「あなたは自分が祐仁だと言ったじゃないか、こんなに何度も態度を変えるべきではない!」
彼が一歩一歩と私に迫ってきて、私はただ後ずさりし、彼の腕を避けた。ちょうど道端にタクシーが停まっていたので、私はすぐに乗り込んだ。
「運転手さん、発車して!」
私はタクシーに乗って逃げるように現場を離れた。
彼に近づきたくなかった。
私の計画全てを彼に知られるのが怖かった。
そして、彼に勝てないのではないかという不安もあった。
しかし皮肉なことに、彼に会いたくないと思えば思うほど。
頻繁に彼と出くわしてしまう。
この街は小さすぎて、顔を上げれば下げれば会ってしまう。