第344章 ダブルベッドルームかツインルームか

私は知っていた、この時間に電話をかけてくるのは、松岡文雄たちしかいないと。

私の心は携帯の着信音とともに締め付けられた。

田中遠三に見破られるのではないかと心配だった。

必死に我慢して電話に出なかった。

幸い、さっきマナーモードにしていた。

振動の音はそれほど目立たず、注意深く聞かなければ気づかれないはずだ。

幸いにも田中遠三は軽く抱きしめただけで、すぐに手を放した。

「行こう!」

「うん、いいよ!」

この場所は本当に人が少ない。

私が田中遠三とフロントに行ったとき、広いロビーには私たち以外の客は誰もいなかった。

私はそっと周りを見回したが、松岡文雄など怪しい人物は見当たらなかった。

チェックインの手続き中、田中遠三はずっと私の手を握っていた。

「お客様、何部屋ご用意しますか?」