第393章 彼は明らかにあなたを口説きたいのだ

「はい、問題ありません!」

沢田書人はあっさりと承諾し、アクセルを踏んでホテルの入り口まで私を送ってくれた。

しかし、私が車から降りた後も、彼は立ち去らなかった。

「二人とも行っていいわよ!」

沢田書人と山田静は二人とも車から出てきた。

山田静は感嘆して言った。

「わぁ、五つ星ホテル、本当に豪華ね。沢田社長、ここに泊まったことある?」

「ないよ、じゃあ二人で中を見て回ろうか?」

「このホテルのシーフードバイキングが美味しいって聞いたわ。行ってみましょう。もちろん、沢田社長のおごりで」

「問題ないよ、行こう!」

この二人は私の目の前で、そのまま颯爽と歩いていった。

私は追いかけて二人を呼び止めた。

「ねえ、あなたたち、もう夜遅いんだから、早く帰りなさいよ。沢田書人、山田静を送っていってあげて」

「だめ、だめ、私たちはシーフードバイキングを食べに行くの!」

山田静は何度も主張した。

実は私にもわかっていた。彼らがシーフードバイキングを食べたいわけではなく、単に私に付き添うための口実を探しているだけだということを。私に何か起こるのを心配しているだけなのだ。

長年一緒にいると、この二人が何を考えているのか、私には手に取るようにわかる。

仕方なく頭を振った後、私は一人で先に88号室へ向かった。

実は以前のインターナショナルビジネスホテルでも宿泊は可能だった。

しかも、多くのビジネスマンがそこに滞在している。

この梅田園林インターナショナルホテルは、立地的に見ると、実はかなり外れている。

市の中心部から遠く離れており、あまり良い選択とは思えない。

疑問に思いながらも、私はすでに88号室の前に来ていた。実は心の中ではかなり不安だった。

ちょうどドアベルを押そうとしたとき、突然携帯が鳴った。

見ると沢田書人からの電話だったので、出た。

「中に入った?」

「まだよ!何か用事?」

「いや、ただちょっと心配で...」

「やめてよ、大丈夫だから、心配しすぎないで」

「いや、相手は年配の男性だろ?もし何か企んでいたら、君は大変なことになるぞ」

「安心して、護身スプレーを持ってるから。もし本当に何かされそうになったら、容赦しないわ」

「わかった、俺と山田静は君の強力な後ろ盾だ。待ってるよ」