「はい、問題ありません!」
沢田書人はあっさりと承諾し、アクセルを踏んでホテルの入り口まで私を送ってくれた。
しかし、私が車から降りた後も、彼は立ち去らなかった。
「二人とも行っていいわよ!」
沢田書人と山田静は二人とも車から出てきた。
山田静は感嘆して言った。
「わぁ、五つ星ホテル、本当に豪華ね。沢田社長、ここに泊まったことある?」
「ないよ、じゃあ二人で中を見て回ろうか?」
「このホテルのシーフードバイキングが美味しいって聞いたわ。行ってみましょう。もちろん、沢田社長のおごりで」
「問題ないよ、行こう!」
この二人は私の目の前で、そのまま颯爽と歩いていった。
私は追いかけて二人を呼び止めた。
「ねえ、あなたたち、もう夜遅いんだから、早く帰りなさいよ。沢田書人、山田静を送っていってあげて」
「だめ、だめ、私たちはシーフードバイキングを食べに行くの!」
山田静は何度も主張した。
実は私にもわかっていた。彼らがシーフードバイキングを食べたいわけではなく、単に私に付き添うための口実を探しているだけだということを。私に何か起こるのを心配しているだけなのだ。
長年一緒にいると、この二人が何を考えているのか、私には手に取るようにわかる。
仕方なく頭を振った後、私は一人で先に88号室へ向かった。
実は以前のインターナショナルビジネスホテルでも宿泊は可能だった。
しかも、多くのビジネスマンがそこに滞在している。
この梅田園林インターナショナルホテルは、立地的に見ると、実はかなり外れている。
市の中心部から遠く離れており、あまり良い選択とは思えない。
疑問に思いながらも、私はすでに88号室の前に来ていた。実は心の中ではかなり不安だった。
ちょうどドアベルを押そうとしたとき、突然携帯が鳴った。
見ると沢田書人からの電話だったので、出た。
「中に入った?」
「まだよ!何か用事?」
「いや、ただちょっと心配で...」
「やめてよ、大丈夫だから、心配しすぎないで」
「いや、相手は年配の男性だろ?もし何か企んでいたら、君は大変なことになるぞ」
「安心して、護身スプレーを持ってるから。もし本当に何かされそうになったら、容赦しないわ」
「わかった、俺と山田静は君の強力な後ろ盾だ。待ってるよ」