葉山大輔は自分で歩いて出てきた。彼の首には厚い包帯が巻かれ、額にも薬のパッチが貼られていた。手には点滴が繋がれ、まるで負傷兵のようだった。
病室で彼を待っていた賀川心を見ると、彼は心が躍ったが、すぐに少し怒ったような表情を装った。
彼はわざと看護師に電話をかけさせたのだ。彼女が心配することを恐れ、さらに彼女が彼を探しに来ることを恐れていた。彼女はまだ妊娠初期で、無理をする体力はなかった。
賀川心は鼻が詰まる感覚がして、手を伸ばして葉山大輔を抱きしめた。涙でいっぱいになった顔を彼の胸に押し付け、涙と鼻水を彼の服に染み込ませた。
葉山大輔は彼女の背中を優しく叩き、微笑んだ。彼女がこれほど心配し、彼のことを気遣っているのを見て、彼の心は蜜を食べたように甘くなった。少し怪我をしたとしても、それは価値があると感じた。