賀川心は心が躍り、葉山大輔から電話がかかってきたのかと思った。しかし見てみると、そうではなく、見知らぬ番号で、しかも固定電話だった。
「もしもし、葉山夫人でいらっしゃいますか?」電話の向こうから少女の声が聞こえてきた。
賀川心は一瞬固まった。初めて葉山夫人と呼ばれ、ほとんど反応できなかった。
「はい、そうですが。どちら様ですか?」
少女は続けた。「夜都中央病院の看護師です。実は、ご主人が首に怪我をされて、今手術中です。彼から電話をするようにと言われました。心配しないで、後で電話をかけ直すとのことです。」看護師の声はとても甘かったが、賀川心の耳には晴天の霹靂のように響いた。
首の怪我?
彼女は突然目を見開き、背筋が冷たくなり、手のひらから汗が吹き出し始めた。
何ともなかった人がどうして怪我をしたのか、しかも首とは...まさか...