第246章:まさか葉山剛のためだったとは

あの頃、彼も大輔と同じように自負心が強く、一つのことに心を落ち着けて取り組むことができなかった。だから多くの回り道をした。多くのことを理解したときには、もう取り返しがつかなくなっていた。

「大輔、お父さんが言いたいのは、自分の心を修養してほしいということだ。浮ついた心は間違った選択をさせる。お父さんが経験した過ちを、お前にも繰り返してほしくない」

葉山大輔は少し唇を引き締めた。父親の目に期待と心配が見えた。

しかし彼は誰かに圧力をかけられるのが好きではなかった。また、自分の生活に他人が干渉して乱されるのも好きではなかった。

「父さん、それは分かってるよ。体を大事にして、仕事のことは心配しないで」

「心配したくないんだがな」葉山様は突然ため息をつき、傷だらけの顔に一筋の憂いが過った。