賀川心は伸びをして、何度もあくびをしてから起き上がり、簡単に身支度を整えた。
今夜は清泉園で葉山大輔の両親と食事をする予定だった。毎月2、3回は訪れていて、前回の清明節にも行く予定だったが、彼女は実家に帰っていた。
「行きましょう!」賀川心は葉山大輔の腕を組み、二人とも長いコートを着ていて、まるでお揃いの服のようだった。会社内を歩くと特に目立っていた。
しかし賀川心は気にしていなかった。初めて来たのだから、みんなが好奇心を持つのは当然だと思っていた。
ただ彼女は知らなかったが、あるオフィスを通り過ぎる時、毒を含んだような目で彼女を引き裂きたいと思っている視線があった。
清泉園は市街地にはなく、市の中心部から30キロ以上離れていた。さらに退勤時間のラッシュで渋滞していたため、1時間以上かかってようやく到着した。