葉山大輔は手に入れた二つの3Dメガネを何度も何度も拭いた。このメガネは一体何人もの人が使ったのか分からないが、彼は潔癖症ではないものの、こういうものを身につけるのは本当に好きではなかった。
彼はそのうちの一つを賀川心に渡したが、突然彼女のお腹に視線を向け、一方の手を伸ばして、優しく撫でた。
「これから映画の音が赤ちゃんを驚かせないかな」映画上映中は音が結構大きいので、彼は突然子供が驚いて、将来聴力に問題が出るのではないかと心配になった。
映画を見に来るという選択は、あまり考慮が足りなかったようだ。
賀川心は首を振り、彼の手をしっかりと握った。
「大丈夫よ、医師に聞いたし、それに前に縁子を妊娠していた時も二回見に来たわ」
そんなに気にすることはない。それに今回の妊娠は危険を伴っているので、彼女はすでにとても注意していた。