第306章：あなたが仕事に行かないなら、母さんは食事をしない

木下奈々は少し頷いた。蒼白い顔は病的に見え、目にはかつての鋭さや傲慢さはもう見られなかった。

半分廃人同然になってしまい、もう傲慢にふるまうことはできない。

深山義彦は母親にさらに数口の食事を食べさせ、口角から流れ出たスープをティッシュで拭いた。

彼の心は痛みに締め付けられ、罪悪感と心の痛みが顔に隠しようもなく表れていた。すべては彼のせいだ。彼が夏目美香を見つけ、家をこのような状態にし、母親をこんな病状にしてしまった。

元凶は彼だった。

木下奈々は一口また一口と食べていたが、六口目になると突然蒼白い唇を固く閉じ、もう食べようとしなかった。

「お母さん...」深山義彦は眉をひそめ、困惑して自分の母親を見つめた。まだ半分も食べていないのに、なぜもう食べないのだろう。

木下奈々は震える手を伸ばし、空中でしばらく震えた後、ようやく息子に触れた。