第381章:彼は入れない

縁子は顔をしかめて、ずっとにこにこしながら、木下奈々に向かって舌を出していた。「おばあちゃん」という言葉はどうしても口から出てこなかった。

「おばさん……」彼女はわざとそう呼んだようだった。

木下奈々は怒らず、手を伸ばして愛しい孫の頬をそっと摘んだ。口が閉じられないほど笑い、心の中で喜びが花開いた。

白山雨子が近づいて、警告した。「おばあちゃんと呼ばせるのはやめて。彼は普段ほとんどおばあちゃんと呼んだことがないし、ここには年配の人もいないから」

木下奈々は目を丸くし、心臓がドキッとした。何かに強く刺されたような気分だった。孫が生まれてから今まで、初めて抱きしめたのだから、おばあちゃんと呼べないのも無理はない。でも大丈夫、これからゆっくり教えればいい。

——

その時、お城の鉄門の外に高級車が停まり、深山義彦が車から降りてきた。スーツをきちんと着こなし、精力的に見え、以前の憔悴と暗い影は消えていた。