第380章:縁子がおばあちゃんを呼ぶ

木下奈々は呉羽敏子に支えられて応接室に入った。これは非常に広々とした応接室で、少なくとも120平方メートルあり、クラシックかつ豪華に装飾されていた。

中の物はすべて高価なものだった。

「縁子……」応接室に入るなり、木下奈々は子供の名前を呼んだ。一度、また一度と呼び、彼女の鋭い目は絶えず大広間を探し回ったが、しかし彼女の大切な孫を見つけることはできなかった。

「あれ……どこに行ったの?」木下奈々は眉をしかめた。彼女はさっき子供が中に走り込むのを見たのに、どうして見えなくなったのだろう。また隠れてしまったのではないだろうか。

「縁子……」木下奈々はもう一度呼んだ。

ソファの後ろに隠れていた縁子は、こっそり小さな頭を出し、自分が見つからなかったことに気づくと、とても嬉しくなり、ソファの後ろでにこにこ笑っていた。