第379章：会えるのは30分だけ

「お婆様……お気をつけて。」反応の素早い呉羽敏子はすぐに駆け寄り、木下奈々を支えた。

木下奈々は焦りと怒りで、呼吸も乱れていた。あまりの興奮のせいだ。

彼女は目の前の女性、かつての義理の娘を見つめた。自分が以前彼女に冷たくしていたことは認めるが、それでも子供に会わせないというのはあんまりではないか。

「賀川心……縁子に会わせて。」木下奈々は自分の要求をすぐに口にした。まるでそれが当然のことであるかのように。

車の中の二人の警備員と、お城から出てきた警備員たちは道具を持って現れた。葉山さんの一声で、彼らはこの女性を引きずり出すことができる。

「賀川心……何か言いなさいよ。」木下奈々は両手を強く握りしめ、額には青筋が浮いていた。今の彼女は本当にイライラしていた。

賀川心は空を見上げた。その澄んだ瞳は今、涙でいっぱいになり、少しぼやけていた。このような場面は夢の中で何度も見たことがあった。彼女は何度も縁子が行方不明になったり、誰かに連れ去られたりする夢を見ていた。まさかすべてがこんなに早く現実になるとは思わなかった。