第402章:彼は本当に怒っている

「お母さん、心姉を傷つけないで」彼は再び葛藤しながら自分の母親を見つめた。母親の気性を知っていたので、彼女が過激な行動に出て、また心姉を傷つけることを恐れていた。

木下奈々は冷笑し、息子の言葉が滑稽に思えた。やはり子供は大きくなると親の言うことを聞かなくなるもので、今は妻のことしか頭にないのだろう。

「もういいわよ、義彦。お母さんにはそんな力はないわ。賀川心には葉山大輔というけだものが守ってるんだから、お母さんに何ができるっていうの?」

そう言うと、木下奈々は顔を背け、窓の外を見つめ、もう一言も話したくないという様子だった。

——

一方、賀川心は葉山大輔に抱かれて車に乗せられた。道中、葉山大輔はほとんど終始無言で、車に乗ってからも一言も発せず、すぐに車を発進させ、お城の方向へと走らせた。