縁子はお母さんの言うことを聞いて布団の中に縮こまり、小さなエビのようになった。お母さんが先ほど言ったことはたくさんあって、彼には理解できなかったが、一日中遊んだ彼はすぐに眠りについた。
彼が再び目を覚ますと、自分が車の中にいることに気づいた。外は真っ暗だった。
「お母さん……」縁子は目をこすりながら、自分を抱いているお母さんを驚いて見つめた。確かにベッドで寝ていたはずなのに、なぜ車の中にいるのだろう。
そう思いながらも、縁子はどう言葉で表現すればいいのかわからず、お母さんを見たり、運転している知らないおじさんを見たりするだけだった。
「横道志、もう少し速く運転してもらえない?」賀川心は急かした。彼は大学の同級生で、あまり親しくはなかったが、彼女がかなりの報酬を払った後、すぐに彼女を手伝うことに同意し、県の町のあるバスターミナルまで送ってくれた。