458章:縁子を私に渡して1

「見てみろ、彼女は正気を失っている」木下奈々はイライラしながら、再び数回ドアを叩いた。

ドアの外の人々は顔を見合わせ、しばらくして、木下和也は二人の警官に目配せをした。すぐに警官たちは道具を持ってきて、ドアの鍵穴に向かって作業を始めた。

ドアの内側で、賀川心はおかしな音が聞こえてきた。

彼らがドアをこじ開けようとしている、直感的にそう思った。

「警告するわ、入ってこないで」賀川心はドアの前に立ち、感情を抑えられなくなった彼女は手に持った包丁を高く掲げ、目には凶光を宿していた。

この瞬間、誰が入ってきても彼女は切りつけるつもりだった。

深山義彦は彼女の行動に驚いた。

彼は急いで彼女の側に駆け寄り、一方の手を素早く伸ばし、空中で弧を描いた後、彼女が包丁を握る手をしっかりと掴んだ。