第459章:縁子を私に2

木下奈々は単刀直入に話し始めた。彼女の鋭い目は賀川心の腕の中にいる縁子をじっと見つめていた。子供がまだ泣いていて、顔中涙だらけなのを見て、彼女の心は血が滴るように痛んだ。

賀川心は答えず、歯を食いしばり、胸が激しく上下していた。まるで体内で爆発しそうな怒りを抑えているかのようだった。

そのとき、木下和也が前に進み出て、賀川心と木下奈々の間に立った。彼は無理に笑みを浮かべ、かつての甥の嫁である賀川心を見つめ、諄々と語りかけた。「心、叔父さんは君が辛いのはわかっている。でも、裁判所はすでに判決を下したんだ。それに、君が子供を連れて葉山家に住むのは子供のためにもよくない。君の義父母も夫も縁子を好いていないんだ。君はなぜそんなことをするんだい?早く縁子を下ろしなさい。子供はまだ小さいんだ、怖がらせないでくれ。」