葉山大輔は電話を切り、すぐに妻の方を見ると、彼女の驚きと怒りの表情が目に入った。
ありがたいことに、彼女の顔にようやく表情が戻ってきた。
「乳母からの電話だった」葉山大輔は少しイライラした様子で言った。「両親がお城に来て、美希を清泉園に連れて行って、自分たちが面倒を見ると言っているらしい」
葉山大輔が重々しく言い終えると、目の前の妻が興奮して立ち上がっているのに驚いた。
「ダメよ!」
賀川心は突然目を赤くし、片手でテーブルを強く叩いた。まるで何かに刺激されたかのように、蒼白だった顔が一瞬で赤くなった。
「あれは私の子供よ!」彼女は大声で叫び、両手をきつく握りしめた。
葉山大輔は彼女の感情が突然激しくなったのを見て、少し安心した。
やはり彼女はまだ気にかけているのだ。少なくとも、彼らの子供のことは気にかけている。