葉山大輔は退出し、静かにドアを閉めた。
彼はキッチンに向かい、自分が買ってきた大きな袋の中身をすべてキッチンに運び込んだ。それは古めかしく見える小さなキッチンで、10平方メートルにも満たないが、幸いガス管などは整っており、基本的な調理器具も揃っていた。
彼はまず米を研ぎ、それから野菜などを全て切った。彼はスズキ一匹、トマト二つ、卵二つ、そして小松菜を一束買っていた。
最も簡単で作りやすい家庭料理だ。
40分もかからずに、彼は料理を完成させた。
作った料理をすべてくるみ色のダイニングテーブルに並べ、葉山大輔は再びあの部屋へと向かった。
彼はカーテンを開けると、明るい陽光がこの小さな部屋に差し込み、賀川心の顔を照らした。彼は陽の光の中、彼女の青白く憔悴した顔を見つめ、指先を優しく彼女の額に触れた。