賀川心は彼が薬を飲んだのを見て、ようやく少し安心した。今はまだ冬で、最近は気候の変化も大きく、確かに風邪をひきやすい。彼は昨日から風邪の症状が出ていた。
「あなた、先にベッドで休んでね。仕事のことは明日でいいから」賀川心は再び彼の手をしっかりと握り、彼を見る目には心配の色が満ちていた。
彼は彼女の前で弱い姿を見せることはなかった。病気のときでさえも同じだった。
葉山大輔は書斎の明かりを消し、彼女と一緒に書斎を出た。
そしてベッドの側まで歩いたとき、彼はようやくベッドの上の小さな体に気づいた。
彼は足を止め、突然唇を噛み、複雑な表情でベッドの上の子供を見つめた。かつて彼をパパと呼んでいた子供だ。
子供は今眠っており、規則正しい寝息を立てていた。
賀川心も近づいてきた。彼女は自分の子供を見て、それから葉山大輔を見て言った。「今日、縁子に会いに行って、連れてきたの。週末だから、子供と一緒に過ごしたくて。深山の人たちは明日の夕方に縁子を迎えに来るわ」