第31章 頭を下げて謝罪

XLギャラリー内。

「希凛さん、お客様です。」展示館のアシスタントがホールから顔を覗かせると、林田希凛が脚立の上に立ち、大きな箱を手で掴んで引っ張っているのが見えた。

「手伝います。」彼女は急いで前に進んだ。

「これは少し重いから、あなたは横にいて。落としたら危ないから。」林田希凛は両手で箱を抱え、慎重に体を回転させ、次の段を降りようとした時、ヒールが上の段の横木に引っかかってしまった。彼女が身を屈めて確認しようとした瞬間、バランスを崩した。

「あっ…」横にいたアシスタントが急いで前に出たが、一歩遅かった。

一対の手が彼女の頭上から伸び、林田希凛の腕から重い箱を取り上げ、横の床に置いてから、彼女を支えた。

林田希凛は靴を引き抜き、顔を上げると、来訪者が羽柴明彦だと分かり、微笑んだ。