第43章 一時帰宅

「どうしてここにいるんだ?」吉田左介は病室のドアを押し開け、視線を羽柴明彦に向けた。

その声に、ソファに寄りかかって目を閉じていた羽柴明彦は驚いて目を開けた。彼は吉田左介を見ると、すぐに体にかけていた毛布をめくり、立ち上がった。

「君が来たなら、私は帰るよ」

吉田左介の横を通ろうとしたが、行く手を阻まれた。

「まだ私の質問に答えていないだろう。どうしてここにいるんだ?」

羽柴明彦は腕時計を見下ろした。すでに午前9時を過ぎていたが、ベッドの上の林田植木はまだ目覚めていなかった。

「林田おじさんが病気だと聞いて、様子を見に来たんだ」

昨夜、吉田左介は病院で夜勤をしており、携帯電話はずっとロッカーに入れたままだった。朝、交代した時に林田希凛から多くの着信があったことに気づいたが、折り返しても誰も出なかった。結局、家政婦に尋ねてようやくここにたどり着いた。