第61章 関わらないほうが身のため

洗面所から出ると、リビングには鈴木ママだけが残っていて、床の汚れを掃除していた。

羽柴明彦が近づいてくるのを見て、彼女は急いで立ち上がった。「旦那様、大丈夫ですか?」

「夏目芽依はどこだ?」

「あぁ...奥様と夫人は二階に上がりました。たぶん奥様のお部屋に...」鈴木ママは小声で答えた。羽柴明彦の表情があまり良くないのを見て、自分が適切なタイミングで夫人を呼んだことを内心喜んだ。

どうやら今回は、奥様が不利な立場になることはなさそうだ。

「うん、ここは掃除しなくていい。部屋に戻って休みなさい。明日は奥様に自分で掃除させる。」

羽柴明彦は階段を上がり始めた。鈴木ママはため息をついた。「こんな大きな家なのに、掃除する使用人も雇わないなんて。奥様にこんな重労働をさせるわけにはいかないわ。」