「夏目デザイナー、おめでとう。正式採用になったよ」
夏目芽依は嬉しさのあまり飛び上がりそうになった。足が少し良くなったのを幸いに急いで会社に来たのだが、こんな大きな良い知らせが自分を待っていたのだ。
「あれ?夏目、正式採用になったんだから、みんなに食事をおごるべきじゃない?」同僚が提案した。
おそらく幸せで一時的に頭が混乱していたのだろう、夏目芽依はすぐに承諾した。「いいよ、何が食べたい?遠慮なく言って!」
金田凛香が彼女の服の端を引っ張り、小声で注意した。「お嬢さん、この人たちが食い物にするとなったら容赦ないわよ」
「それがどうしたの」夏目芽依はまだ喜びに浸っていて、こんなことで彼女の気分が影響されるはずがなかった。「どうせ一度きりだし、思い切っちゃおう」
昼時、チームの十数人が大挙して会社近くの湘南料理店にやってきた。