「今日も残業するの?」
「うん」夏目芽依は仕方なく頷いた。「伊藤お姉さんが今日彼女の担当部分を送ってくれたから、夜帰ってからしっかり確認しないといけないの。できるだけ早く作業を始めたいし、私一人のせいでプロジェクトの進行に影響を与えるわけにはいかないから」
金田凛香は口をとがらせ、彼女のために不満を漏らした。「文太さんが何を考えているのか本当に分からないわ。新しい人を入れずに、あなたに仕事を全部押し付けるなんて、コストが足りないの?」そして首を傾げて考え込んだ。「でも違うわよね、鈴木主任はあなたたちのプロジェクトをとても重視しているから、必要なリソースは何でも提供してくれるはず。お金を惜しむわけないでしょ」
夏目芽依はそれが理由ではないことを知っていたが、何を言っても自分の言い訳のように聞こえてしまう気がした。