第118章 なんとか合格

夏目芽依は会議室の入り口に立ち、深呼吸をして、心を落ち着けようとした。

佐藤文太が朝出かける時に彼女の肩を叩いて約束してくれたし、自分でも何度も練習したけれど、いざこの時になると、まったく自信がなかった。

今日は、リトウプロジェクトの初期報告の日だった。

ドアを開けると、会議室には整然とリトウ会社のプロジェクト責任者、ディレクター、部門マネージャーが7、8人座っていた。一人一人紹介されたが、芽依の頭は混乱していて、誰が誰だか全く覚えていなかった。彼女が知っていたのは、片桐恭平がいないこと、佐藤文太もいないこと、彼女を応援してくれる人が一人もいないということだけだった。

「皆さん、こんにちは。朗星デザイナーの夏目芽依です。今回のリトウホテルのウェブサイトとモバイル端末デザインプロジェクトの初期報告を担当します。」視線をどこに向けたらいいのか分からず、下の人たちは皆無表情で彼女を見つめ、黙っていた。「それでは始めさせていただきます。」