第115章 いわゆる公平

「これは何?」佐藤文太はパソコンの画面を夏目芽依の方に向けて尋ねた。

「プロジェクトの進捗報告書です」と夏目芽依は言った。「伊藤お姉さんのアドバイスに従って修正しました」

佐藤文太は手で顎を支え、不機嫌な表情を浮かべた。

「以前、クライアントが気にしていることは何かと言ったよね。いわゆるクライアントというのは、彼らに提示するものすべてを彼らの視点から審査する必要があるということだ。彼らが知りたいことを伝えるんだ」

彼はマウスを握り、軽くクリックして文書を大幅に削除した。「結果に関係のないことは書く必要はない。要点をずらすのはデザイナーとしてあるべき姿勢ではない」

「はい」夏目芽依はうなずいた。「わかりました、次回は気をつけます」

「うん、持ち帰って修正して、退社前に送ってくれ」と佐藤文太は指示した。