第74章 不愉快な別れ

「ふん。」吉田左介は後ろに二歩下がり、軽く咳払いをした。「すみません、遅れました。」

皆が振り向き、ようやく彼に気づいた。

「やっと来たのね。」林田希凛はすぐに立ち上がり、前に歩み寄って彼の腕を取り、甘い笑顔を見せた。「あなたを待っていたから、もう皆プレゼントを開け始めちゃったのよ。」

羽柴明彦は立ち上がり、吉田左介と握手した。「誕生日会に来てくれてありがとう。」

「当然です。」

錯覚か心理的なものかはわからないが、彼は自分の手を握る力がいつもより少し強いように感じた。

「来たからには、早く座りなさい。ウェイターも料理を運べるから。」林田植木は立ち上がらず、ただ振り向いて言った。

吉田左介が加わっても、個室の雰囲気は和らぐどころか、むしろ一層奇妙になった。

皆は円卓を囲んで座り、若松朱音から右に数えると、順に林田植木、羽柴明彦、林田希凛、そして吉田左介だった。もともと広々としていた席は、数人が座ることでさらに疎らになり、部屋で一言話すと、まるでエコーがかかるようだった。