「行かない」果たして、羽柴明彦はあっさりと断った。
夜、彼はいつものようにソファに座り、手に持った紙の本を真剣に読んでいた。
「じゃあ私一人で彼らと行くね〜」予想通り、夏目芽依は落胆していなかった。
羽柴明彦は顔を上げて彼女を見た。この女性はどこからか動物の寝間着をたくさん手に入れたらしく、最近は毎日違うものに着替えていた。今夜はキリンのようだ。「友達の邪魔をしたいの?」
「うーん〜」夏目芽依は説明せず、ただ返事をした。
そうだ、二人は結婚したとはいえ、あくまで契約結婚で、感情的なものは何もなく、新婚旅行すらしていない。夏目芽依はやはり若い女性だから、遊びに行きたくないわけがない。チャンスがあれば当然掴みたいだろう。
羽柴明彦は2秒ほど考えて、意外にも同意した。
「一緒に行こう」彼は淡々と言った。