第151章 私には難しくない

羽柴明彦はベッドに横たわり、頭がぼんやりとしていると、ドアの外でカサカサという音が聞こえた。

「入って」と彼は言った。

夏目芽依は大きな椀に入った黒い鶏のスープを手に持っていた。ちょうど温め直したばかりで、あまり熱くない椀の縁だけを持っていた。彼女は椀を一度床に置こうか迷ったが、置いてしまうと持ち上げられなくなるのではないかと心配した。

「ドアを開けてもらえますか...」しばらく考えてから、彼女は小さな声で尋ねた。

羽柴明彦には彼女の言葉がはっきりと聞こえなかったが、彼女をずっとドアの前に立たせておくわけにもいかず、自分も休めないので、仕方なく起き上がって寝室のドアを開けた。

「これは鈴木ママが煮込んだスープです。とても美味しいですよ、私が既に味見しました」夏目芽依はスープの椀を慎重に持って寝室に入り、周りを見回したが、スープを持ってきたものの置き場所がなかった。