第152章 食べ物を無駄にしてはいけない

漆黒の廊下に立ち、遠くにかすかに光る点が見える。羽柴明彦は眉をひそめ、必死にはっきり見ようとした。

「お父さん」

数歩歩いたところで、目の前の人物が羽柴隼人だと気づいた。彼は光に背を向け、顔に影ができて表情ははっきりしなかったが、なぜか羽柴明彦は一目で彼だと分かり、心の中でそれが羽柴隼人だと確信していた。

「お父さん」もう一度呼びかけたが、羽柴隼人は終始答えず、ゆっくりと後ろに下がっていった。

彼が一歩下がれば、羽柴明彦も一歩前に進む。さらに一歩進もうとすると、足が誰かに制御されているかのように動かなくなり、二人はずっと近すぎず遠すぎない距離を保ったまま、この漆黒の廊下をとても長い間歩き続けた。

遠くの光点が徐々に近づき、ほとんど目の前まで来ると、羽柴隼人は一言も発せず、ついに眩しい光の中に消えていった。