「いつ私に黙って片桐社長に会いに行ったの?」
父親が眉をひそめ、真剣な表情をしているのを見て、羽柴美波はしばらく戸惑った。「どうしたの?」
「私の許可も得ずに、誰が勝手に彼と協力の意向書にサインすることを許したんだ」羽柴悠真は手にしていた書類を机に投げた。「まったく無茶苦茶だ!」
羽柴美波は急いで前に進み、父親の腕に手を回して、優しく言った。「どうしたのよ、私はただこれがチャンスだと思っただけよ。見逃すのはもったいないし、それにあの時はいとこが土地を持っていることを知らなくて、他の人に先を越されるのが怖くて片桐社長に会いに行ったの。何か問題あるの?」
「もちろん問題がある」羽柴悠真は娘を見つめ、厳しい言葉を言いたくても言えず、ため息をついた。「はぁ、君はその状況を理解していない。X19区画には多くの紛争があって、簡単に解決できるものではないんだ」