第154章 重い風邪患者なんて、最低

この男は本当に家庭的で、上品な場にも台所にも通じている。

夏目芽依は麻婆茄子を口に運んだ。「美味しい!」こんな単純な食材なのに、木村城太はとても美味しく調理していた。茄子の外側はサクッとした食感で、中はみずみずしく、色合いも豊かで、口に入れるとすぐに溶けるようだった。これまで食べた中で最も美味しい麻婆茄子だった。

金田凛香の言う通り、木村城太は確かに徳・知・体・美・労のすべてにおいて優れた青年で、長所を数え切れないほど持っていた。

以前はある出来事のせいで、夏目芽依は彼に対して偏見を持っていた。何かに知恵の目を曇らされていたのだろう。今日の一件で彼に対する印象は大きく変わり、何度も褒めずにはいられなかった。

「これも美味しい、あれも美味しい」家庭料理ばかりの夕食なのに、彼女は褒め言葉を連発した。「木村さん、羽柴さんの下で働くのをやめて、自分でレストランを開いたら?私は絶対常連客になるわ」