「瑤子、前回言っていたことについて何か進展はあった?明彦くんは何て言ってる?」
羽柴美波はパイナップルを手に取ったところで、その言葉を聞くとすぐに置き、立ち上がって羽柴悠真の背後に回り、肩をもみ始めた。
「お父さん、焦らないで〜いとこのことはよく知ってるでしょ?彼は何事も損得をしっかり考えてから決めるタイプだから、そう簡単には決まらないわ」
「そうか?もう何日も経っているのに、本当に検討してるのか?」
旧市街再開発計画が正式に始まってからしばらく経っていた。この間、他の人たちも黙ってはいないだろう。羽柴明彦があれだけの広大な土地を持っているのだから、彼に接触する人は少なくないはずだ。協力を得るためには先手を打たなければならない。羽柴悠真の性格では、ただじっと待つことなどできなかった。ただ、羽柴美波が自ら志願したので、この件を彼女に任せたのだが、一日また一日と待っても、何の進展もなかった。