「あれ?羽柴明彦は出かけたの?」七時過ぎ、夏目芽依はいつものように食卓で朝食をとっていた。いつもと違って、もうこんな時間なのに、羽柴明彦の姿が見えない。
鈴木ママは温めた牛乳を彼女の前に置いた。「旦那様はまだ降りてきていません。」
「私が思うに…たぶん昨日本当に痛かったんでしょうね。私が来たとき、彼はあそこに座っていて」彼女は階段の入り口を指さした。「なかなか立ち上がれなかったわ。」
夏目芽依はパンを喉に詰まらせた。「本当にそんなに深刻なの?」
彼女は昨日謝った後、すぐに二階に逃げ帰り、しばらくして寝室のドアが閉まる音を聞いたので、彼はもう大丈夫だと思っていた。
「じゃあ…見に行ってくるわ。」
「ついでに朝食も持っていってあげて。」鈴木ママは用意していた小さなテーブルを彼女に渡した。その上にはお粥と数皿の小鉢が置かれていた。「食欲がないかもしれないから、特別にお粥を煮込んだの。」