喫茶店に座って、二人は最初、何も話さなかった。
午後、羽柴美波が突然LINEを送ってきて、夏目芽依に夜会おうと誘った。前回、二人が羽柴おばあさんの家で出会った時、礼儀として連絡先を交換しただけで、彼女は羽柴美波が本当に自分に連絡してくるとは思っていなかった。
「何が食べたい?」夏目芽依は顔を上げて彼女を見た。
「ダイエット中だから、夜は食べないの。」羽柴美波は指で絶えずグラスのストローを軽く揺らしながら、ゆっくりと言った。「あなたが食べたいものを注文して、今日は私がおごるから。」
夏目芽依は仕方なくメニューを見つめた。親しくない人と一緒に食事をするのは苦痛だった。
「これにします。」相手がダイエット中で食べないなら、自分も大量に食べるわけにはいかず、小さなワンタン麺だけを注文した。実際、一日中勤務を終えた夏目芽依は今、お腹がぺこぺこで、牛一頭でも食べられそうだった。