空っぽの寝室に横たわり、夏目芽依は天井を見つめぼんやりしていた。羽柴明彦の言葉が頭の中で響いていた。
「君も今言ったように、離婚したら君は離婚経験のある女性になって、再婚すれば二度目の結婚になる」羽柴明彦は彼女を見つめた。「そうなると、僕もそうなるんじゃないか?」
夏目芽依は少し困ったように言った。「あなたは大丈夫よ。男性は何回目の結婚かなんて重要じゃないし、それにあなたはこんなに若くて有能だから、あなたを好きになる女性はたくさんいるはず。そんなことを心配する必要なんてないわ」
羽柴明彦は首を振った。「ダメだ。堂々たる風光グループの社長が二度目の結婚なんてあり得ない」
夏目芽依は呆然として、何も言えなかった。
「離婚なんてあり得ない」羽柴明彦は身を乗り出し、彼女の目をじっと見つめながら、一言一言はっきりと言った。「僕が自ら君を手放さない限り、この先ずっと君は逃げられない」