第223章 柔らかい展示

XLギャラリーの入り口で、羽柴明彦は車を停めた。「ここで待っているよ」

林田希凛は彼を見て、「中に入って少し座っていかない?あなたの意見も聞きたいの」と言った。

羽柴明彦は普段から芸術品を収集するのが好きで、本物の情熱とまでは言えないものの、それは楽しみの一つだった。展示会の前に作品の原型を見る機会は、当然ながら貴重なものだった。

「この展示のテーマは『柔らかさ』なの」と林田希凛は歩きながら説明した。「このテーマをもらった時、すぐに雲を思いついたの。だから今回の展示は主に空の雰囲気を作り出して、体験者が実際にその場にいるような、空の中で自由自在に浮かんでいるような感覚を味わえるようにしたいの」

羽柴明彦は最も広い展示室に入り、柔らかそうな丸いクッションに腰を下ろした。確かに柔らかい。