羽柴明彦が入ってくるのを見て、メディアの記者たちは一斉に押し寄せてきた。
「羽柴社長、朗星の株主として、今回の事件についてどうお考えですか?」
「羽柴社長、今回の新人デザイナーによる著作権の無断販売は業界に極めて悪影響を与えています。朗星の株価は市場開始と同時に下落していますが、金田社長との関係を考えると、この事件にどう対処されるおつもりですか?」
「羽柴社長…」
普段、羽柴明彦は朗星では株主の肩書きだけで、定例の株主総会にもほとんど参加せず、金田直樹が何か困難に直面して助けを求めてきた時だけ、珍しく顔を出すことがあった。
今回彼が来たということは、この問題が大きくなりすぎて、関心を寄せざるを得なくなったということのようだ。
金田直樹は手で額を押さえた。彼はたった二つのメディアに通知しただけなのに、一度に七、八人も派遣してくるとは思わなかった。騒がしくて頭がガンガンする。他に掘り下げるべき大きなニュースはないのだろうか?