「あいたた…あいたた…」さっきの腸の動きが激しすぎたせいか、夏目芽依は今、急にトイレに行きたくなった。でも、ここまで演技を続けてきたのに、ここで諦めるわけにはいかない。
必死に我慢してみたが、やはりダメだ。
自分が十分速く動けば、彼に捕まらずに済むはず。そう考えて、彼女はベッドから飛び起き、ドアまで一目散に駆け寄り、ドアノブを力いっぱいひねった。自分の部屋のトイレまで一気に走り、ついでにドアに鍵をかけるつもりだった。そうすれば羽柴明彦が本当に彼女を叱りたくても、入ってこられないはずだ。
「何をしているんだ?」背後から静かな声が聞こえた。
このドアの鍵は彼女に逆らっているかのようで、焦れば焦るほど開かなかった。
羽柴明彦はすでに箸を置き、ドアの方へ歩いてきて、彼女の落ち着きのない小さな手を押さえた。「俺の質問が聞こえなかったのか?」