第255章 このお金を受け取って

「おばさん、あなたが今私に会いたくないのはわかっています。でも…」夏目芽依は病室の中を覗き込み、先ほどの佐藤凡太の様子を思い出すと、心を誰かに握られているような気がして、ズキズキと痛んだ。「この病院の医療レベルはあまり良くないようです。凡太は前よりもずっと憔悴しています。前の病院に戻した方がいいんじゃないでしょうか。費用は私が何とかします」

松本愛子は彼女をちらりと見た。「うちの家のことにあなたが口を出す必要はないわ。それに、凡太がこうなったのは誰のせいかしら。あなたでしょう。ここで善人ぶるより、お寺にでも行って拝んだ方がいいわ。神様があなたを許してくれるかどうか」そう言って、松本愛子は二人をかわして病室に入った。

金田凛香は芽依の服の端を引っ張り、切実に言った。「今日はもう帰りましょう。ここにいても気分が悪くなるだけよ」