第226章 タイミングよく来た

「見えた?」

羽柴明彦は振り返って鈴木ママに尋ねた。ベッドで熟睡している夏目芽依を見て、鈴木ママもようやく安心した。

「先に食事にしましょう」

「でも奥様は…」

羽柴明彦は夏目芽依を一瞥し、手近な毛布を取って彼女にかけた。「疲れているなら、ゆっくり休ませてあげよう」

しかし、その一眠りは朝までずっと続いた。

夏目芽依が目を開けたとき、身支度をする間もなく、階下から聞き慣れた明るい笑い声が聞こえてきた。

「これはうちの家政婦が漬けたキムチよ。特別にあなたたちのために持ってきたの」菅原萤子は手に持った壺を鈴木ママに渡した。「お口に合うかどうかわからないけど、気に入ったら今度もっと作ってもらって持ってくるわ」

夏目芽依が階段を降りてくるのを見ると、彼女はすぐに腰を振りながら迎えに行った。