第277章 別居しよう

XLギャラリーでは、林田希凛がスタッフに新しい展示の準備を指示していた。

「林田社長、前回の展示で使った柔らかいパネルはまだありますか?」助手が隣の展示室から走ってきて尋ねた。「カーテンの壁の裏が平らではなくて、お客さんが多くなってそこに集まると、気づかずにカーテンの後ろの棚を倒してしまうかもしれないと心配で。」

林田希凛は少し考えて、「あったはずよ、私が取ってくるから、あなたはここで見ていて。」と言って、倉庫へ向かった。

XLギャラリーの倉庫には展示に必要な様々な背景材料が積み上げられていた。毎回の展示のスタイルや特徴は異なり、以前の背景が次の展示でも使えることは稀だったが、できるだけ無駄にしないという原則に従って、使い切れなかった材料は保管されていた。

林田希凛は二段の棚を回り込み、残りの柔らかいパネルが一番上の棚に置かれているのを見つけ、横にあった脚立を持ってきた。